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裁判員制度と愛国心の、繋がってないようで綱がってる関係 [司法]

報道されている中では、裁判員を選任する面接(裁判官との面談)で「あなたは絶対に死刑を選択しないと決めているか」と質問される可能性がある。検察官と弁護士は4人まで「忌避」によって裁判員の排除手続きを取ることが許されているので、この段階で「やっぱ人の命を奪うのは怖いし良くないと思うので、死刑は出しません」などと答えると、検察に排除されることになる。

法務省のホームページでは「裁判が、あなたの良識を必要としています」と大きく書いてあるのに、「人を殺したくない」という良識は排除されるなんて矛盾してる。それとも、殺人回避は国の定義する「良識」ではないということなのか。
また同時に「あなたは警察官の捜査を信用していますか」との質問が行われることも想定されており、ここでまた「最近冤罪の報道もあったし、必ずしも信用できるとは言えない気がします」などと答えれば検察から忌避される。
だとすれば、「広く市民の意見を取り入れる」と歌われている制度が、実際には国にとって都合の良い人間だけをチョイスする不公平な制度であり、更に言えば「良識とはなにか」という思想信条にまで介入してくる作業ではないのか。なにしろ「あなたの経験を」とか「あなたの知識を」じゃなく「あなたの良識を」必要としているのだから。
これって愛国心教育とどこか似てる。
国が正しいとすることだけが、正しい。
国が良識とするものだけが、良識。
そんな臭いがプンプンする。

最近、法務省が出している裁判員制度の啓蒙DVDを2本観た。どれもそろって働き盛りの中年男性が主人公で、最初は多忙を理由に参加を拒むが、結局は「参加して社会のためになることが出来てよかった!」と社会性に目覚めるトーリーだ。しかも、それを機に家庭生活まで上手くいくという、「食事で何でも解決」な美味しんぼ並みのご都合主義である。
まぁ、ああいう作品にリアリティーとか芸術性を求めてはいけないことは知ってますが、それにしてもちょっとね。
で、どちらにも休憩時間の描写があり、若い女性の裁判員が、一本では障害者の男性に、もう一本では高齢の男性にコーヒーを差し出すシーンがある。周りに男はたくさんいるのに(しかも暇そうなのに)、何故か、どちらも若い女性が、介助を必要とする男性に、飲みのもを差し出すのだ。
「男は外で働き、国に奉仕」「女は介護」
そんな裏メッセージを感じてしまうのはひどく深読みだと思いつつ、しかし、2本の作品が表出する「法務省の世界観」に、私はやはりウンザリしてしまう。まるで戦前だ。

<参考>
保坂展人のどこどこ日記
http://blog.goo.ne.jp/hosakanobuto/e/8e2558afdb37d497aae9a00efcfa6c4c
http://blog.goo.ne.jp/hosakanobuto/e/27f78e12828b4ce61eb1beb8d0ab42ff


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