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新潟県中越地震に見る、切り捨てられる地域と労働 [事件、ニュース]

新潟県中越地震で、思いもよらない影響が出ている。ひとつには、原発の稼動停止(これは意外でないとして)によって、夏の電力が不足するかもしれないという点。もうひとつは、国内の自動車メーカー全12社が、そろって部品不足のために自動車の生産をストップせざるを得なくなったことだ。

まず原発に関して言えば、これは米軍基地などの問題にも共通することだが、リスクの高いものを地方に集中して押し付けてきたことの結果でもある。
柏崎刈羽原発は日本で最大の原発だが、全国各地の原発はどれも地方、もっと言えば「田舎」に分布している。東洋町の問題でも分かるように、原発産業の施設は、経済効果と住民の安全を天秤にかけたとき、経済効果を取らざるを得ないような貧しい地方に集中する。事実を隠せるだけ隠して「安全ですよ」という人々の言葉を、たぶん嘘だと知りながら、受け入れはしなくても地方は引き受けてきた。
そして、地方がリスクを背負って生み出した電気のほとんどは、その地域ではなく大都会で消費されていく。都会の消費を地域のリスクでまかなっているわけで、なんだか、先進諸国が排出したCo2の被害を発展途上国が受けるような、環境の南北問題とも通じるところがある。
石原都知事は能登半島地震の際に「ああいう田舎ならいいんです」「東京ならかなりの被害が出ただろう」と発言したらしいけど、今回「ああいう田舎」の災害で東京に電力的な被害が出たことはどう思っているのだろうか。日本国も東京都も、東京だけで回っているわけじゃないんですけど。【能登半島地震と不愉快な石原発言】
東京一極集中で地方は経済的に切り捨てられた上、設けたきゃ原発か基地か刑務所でも作れよと、それが嫌なら第二の夕張ですよと、大げさでなく、それが今の国の方針であり実態だ。

そして自動車生産について言えば、これは「かんばん方式」のツケである。トヨタが生み出したこの方式は、今では自動車生産業界で広く普及している。出来るだけ在庫をもたず、必要なものを必要なときに必要なだけ作り、コスト削減を図ることがこの生産手法の特徴である。
これは逆に言えば「必要なときにすぐ必要な部品が手に入る」ことを前提としているわけで、こうやって必要な部品が手に入らなくなると、その脆弱さが浮き彫りになる。言ってみれば毎日が綱渡り的な手法なのに、これを一社だけではなく大手自動車メーカーがそろって採用しているのは、コスト削減しか考えて来なかったことの結果である。
ましてや12社すべてが同じ工場の部品を使っていた事実に至っては、ちょっとアレな言い方をすればただのバカだ。そうなった根底にも「コスト削減」があるのかもしれない。
かんばん方式だと生産量にあわせて人員も増減させるため、非正規雇用の温床となっており、私は雇用の面から問題だと思ってきた。つまり、単純に在庫を無くして倉庫の地代や管理費用が浮くだけではなく、人も「必要なときに必要なだけ」しか取らないので、大幅な人件費削減が可能になったのだ。
だから人員に関しても、ストなどで今回のように「手に入らない」状態になれば経営側は考え直すかもしれない。
しかし残念ながら、そんなことは起こらない。部品と違って、人はいくらでも替えを用意できるからだ。非正規雇用者は、今や部品よりも簡単に替えが効く存在になってしまっている。

原発が環境に優しいというなら、首相官邸の隣りに原発を建てろ。
憲法を変えて戦争したきゃ、都庁の隣りに基地を作れ。
コストを削減したいなら、経団連にいる奴らの給料を下げろ。

地方にリスクを押し付け、コスト削減だけで利益を上げてきたことの結果が、この地震で噴出した。
地方に住む失業者としては、そう思えてならない。


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