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韓国人アフガン人質事件 [事件、ニュース]

7月19日、アフガニスタンでボランティア活動を行っていた韓国人23人がタリバンに拘束された。タリバンは犯行声明で、アフガンに駐留する韓国・ドイツ両軍の撤退、捕らえられている兵士の解放などを要求した。
当初、7月22日午後7時30分(韓国時間)を交渉期限としていたが、その後、何度も延長。25日現在では、交渉の末、8人の人質が解放されている。

捕らえられている人々が、一日も早く、無事に解放される事を祈る。
この事件を見て思い起こされるのは、当然、日本人イラク人質事件だ。あの当時バッシングを盛んに行っていた人々も、おそらく今は「ちょっとやり過ぎたよね」程度の反省はしていると思う。
その後も外国人人質事件は何度も起きている訳だけど、今回は拘束されている人数が多い事、被害を受けたのがお隣の韓国であることなどから、日本では他国の人質事件よりも大きく扱われた。
まぁ、日本のマスメディアに、あの当時の日本の異常な反応と、今回の韓国の反応を見比べて何かを得るとか、そんな有益な作業を期待しているわけではない。
実際、「韓国内では人質の態度を問題視する世論が盛り上がっている」とか、「人質の姿勢を非難する新聞記事がある」といった報道も多く、暗に「韓国だって同じような反応をしてますよ」を臭わせようとしている。

しかしだね。あの当時、もちろんメディアも世間も大いに人質バッシングを行い、「自己責任」が流行語のようになったけれど、それを主導したのは市民の声でもメディアでもなく、小泉内閣だったじゃないか。そこがまず根本的に違うのだし、そこが一番の問題だったはずだ。
時の大臣が、危険を押してまで人道支援に行った人々を「自己責任」と切り捨ててかばおうとせず、その家族までをも攻撃の対象にした。その態度こそが「国」としての問題だったんじゃないのか。
社会にはいろんな視座があって、だから韓国でも一部の市民やメディアから「勝手に危険な場所へ行って国に迷惑をかけるな!」と、あの当時の日本と同じような批判が出る事はあるだろう。しかし、じゃあ韓国政府が、国の公式な姿勢としてそんな事を言っているのかといえば、答えはNOだ。
ノムヒョン大統領は「拉致された韓国民は医療ボランティア活動をしていた罪のない民間人だ」との緊急放送を行い、大統領がタリバン政権に語りかけるという、異例の姿勢を示した。
こうした方法(人質が行っていた活動の人道性を主張し、解放を要求する)は、実は日本ではあの当時、市民メディアが取った態度だった。様々な活動を行っている市民グループが、「人質3人が普段取り組んでいた活動を犯人達に伝え、殺害を回避しよう」と動き、人質達の日常の活動風景や、犯人への呼びかけメッセージ等の映像がインターネットにアップされたり、アラブ系のメディアに持ち込まれた。
日本の政府やマスメディアが見向きもせず、市民団体が行った方法を、いま韓国は国としてやっているわけである。あの当時の日本政府の態度と、今回の韓国政府の態度は決定的に違う。
だからこそ、韓国市民や韓国メディアが、人質をあの時の日本人と同じ言葉で非難しようとも、日本で起こった人質バッシングとはまったく意味が違う。その事を踏まえた上で、韓国で沸き起こっている(らしい)人質バッシングをとらえる必要があるだろう。

少し細かい話になるが、今回の報道を見てどうにも奇妙な事がある。この事件を報じるに際して、新聞にしろテレビにしろ、やたらと「拉致」という言葉が多用されているのだ。逆に、日本で同様の事件が起こった際に使われた「人質」や「拘束」はほとんど使われていない。
まぁ、拉致されて、拘束している事を盾に要求するから人質なのであって、同じ事といえば同じ事なんだけど、なんだかなぁ。日本人イラク人質事件とは別物だと思わせたい、と意図されているように感じる。更に深読みすれば、「韓国」と「拉致」のキーワードを同時に出す事で、近頃下火になってしまった、北朝鮮の拉致事件を思い起こさせようとしてはいないか。
アベ拉致担当総理がどうにも不人気な選挙戦の最中、この事件の報道され方について、いろいろと深読みをしたくなってはしまう。

<関連>
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