SSブログ

「生きさせろ!難民化する若者たち」に見る、生きていく私たち [貧困]

雨宮処凛の「生きさせろ!難民化する若者たち」を読んだ。ネカフェ難民に象徴される「新しい貧困」「見えない貧困」を綿密に取材した良書である。 ここ10年に渡る若者バッシング&自己責任論が、若者たちに何を植え付けたのか。その中で雇用と貧困が誰にとって都合よく使われ、どれほど多くの金と労働と生活と自尊心と命を奪ってきたのか、まざまざと見せ付けられる。
世間では景気回復が言われ、確かに東京の駅前からもホームレスは格段に減った。でも、それじゃどうしてこんなに私たちは貧しく不幸なのか? 一体どこの景気が良いのか? その疑問に対する答えのひとつが、本書にはある。

一方で重要だと思うのは、本書が単に現状の悲惨さだけを描いて終わっていないことだ。過酷な現実を直視しつつ、ついに反撃を始めた若者たちの新たな流れにも着目しており、WEBで話題になっている(と思う)高円寺ニート組合などについても紹介している。
多くのプレカリアート(非正規雇用者・失業者)にとって、本書は絶大な共感書であり、応援歌でありうると思う。
「生き残る」という言葉が、こんなにもリアルになってしまった今の日本社会で、自殺未遂を繰り返してきた著者の「生きさせろ」は、先進国にあっても心から実感のこもった言葉だ。
今年4月に行われた「自由と生存のメーデー」で、著者は先頭に立ってシュプレヒコールをあげていた。「マックは自給を上げろ!夜中にマック難民を追い出すな!」「身分証の提示を求めるな!免許書も保険証もないぞ!!」主張というよりは悲痛な叫びとも取れる言葉を、彼女は延々と放ち続ける。その切実さに心を打たれた。

それで本書の内容とは別に考えたのは、弱者が更なる弱者の労働を消費せざるを得ないということで、例えば日本で低所得であればあるほど、ファーストフードや低価格商品を利用せざるを得ない。そのファーストフードと低価格商品を支えているのは、日本で働く膨大な数の非正規雇用者と、いわゆる発展途上国の人々である。
グローバリゼーションの中で、富める物は国境を越えた搾取によって国内外からあらゆるものを奪って富を増大させ、貧困者は国境を越えて搾取され続ける。解決の糸口はどこにあるのかと呆然としながら、それでも反撃を始めた若者たちの叫び声に、一縷の望みを託したいと思う。

<参考>
【自由と生存のメーデー】
http://www.youtube.com/watch?v=ebbEXlWBJXA
http://www.youtube.com/watch?v=KldULollcgs
http://www.youtube.com/watch?v=oBCxH5kGZ_s
【反貧困キャンペーン】
http://www.janjan.jp/living/0706/0706086912/1.php
【松本哉 選挙活動】
http://www.youtube.com/watch?v=dNstmvH0Bm0


nice!(0)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:日記・雑感

nice! 0

コメント 0

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

トラックバック 0

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。