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バッシングの作用と副作用 [事件、ニュース]

ここ数日、テレビはコムスン問題、というより折口バッシングで持ちきりである。
確かにコムスンのやったこと(不正申請)はどう考えたって意図的な「ズル」で、処罰されて当然であるし、それを同じ傘下にある子会社に受け渡して事実上の処分逃れをするなんて、まさに「悪知恵」だとも思う。
しかし、だからといって、折口会長をあんなに毎日テレビにひっぱり出し、番組司会者やコメンテーターが好き勝手に詰問をする権利があるのか。介護や福祉の専門家でもない「職業はコメンテーター」みたいな人々が、鬼の首でも取ったように罵詈雑言を、しかも公共の電波で浴びせ続ける必要がどこにあるのか。それは報道でもニュースでも、ワイドショーですらない、ただの「公開リンチ」にしか私には見えない。
あれで自殺したらどうするんだ。
大臣が死んだ直後なのだし、メディアはバッシングに対して、もう少しナイーブになって良いと思うのだが。

だって、あの人が出てきて、何か原因究明が進んだか? 解決策が見つかったか? 意味不明な説明に終始して、ひたすら頭を下げるているだけじゃないか。原因究明どころか、事実関係の確認すら出来ない。
その姿を見た上で、つまり彼にそんなことは期待できないと分かった上で、まだ番組に出演させるということは、問題解決以外のところに真意があるってことだ。視聴者的には「悪者がやっつけられる様」を鑑賞してスッキリし、更には「悪い奴を責めてる俺は正しい」と視聴者もコメンテーターもゆがんだ自己肯定をし、放送局は視聴率が上がって喜ばしいと、そういう構図ではないのか。バッシングの根底には、いつも憂さ晴らしと金儲けがある。

だいたい、不正申請はそりゃ悪いが、そんな申請を大量に出来てしまう制度に不備は無いのか。もっと原点に立ち返れば、そもそも介護への民間企業参入が本当に正しかったのか。そういった話がまったく出てこないのはどういうことだよ。
コムスンが潰れたところで、売却先の候補に上がっているのはワタミやニチイ学館である。いずれも利益追求が第一目標の「営利企業」であって、つまりは売り上げ計上のために似たようなことが起こらないとも限らない。
もし今の構造に問題がないと言うなら、たかが一社が不正をしたくらいで、しかも処罰されているにも拘らず、これだけ騒ぐのはどうかしている。重大な問題であるというなら、そんな大きな問題が一人だけの「悪意」で成り立ちえるのか、仮に成り立ちえるとしたら、たった一人ヤバイ奴が紛れただけで大打撃を受けるような制度に欠陥は無いのか、それこそを考えるべきだろう。

今回の報道を見て思い起こすのは、ヒューザーの小嶋(元)社長に対するバッシングだ。なんていうかメディア的な立ち位置が同じ。問題が起こって、見渡してみたら悪役の似合う奴がいたので叩かれたと。
耐震偽装の問題も、結局は国の責任や制度の問題を問われないまま収束していった。建築に関する制度的な問題の表れでもありそうなのに、そんなことは考察されず、いち個人へのバッシングで憂さを晴らし、気が済めば問題が解決されたことになる。
介護問題も、こうやって一人にバッシングを集中させ、悪者を退治したからもう良いってことで放置されそうである。
メディアは、いったいどれだけの問題を個人責任で終わらせるつもりなのだろうか。


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