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死を糧にして回る社会 [総論]

さまざまな人の「死」を糧として、社会全体が回っている。

医療と福祉の切捨てを背景に、助けられる病で死ぬ人がいる。
経済の悪化と福祉の切捨てを背景に、餓死する人がいる。
労働条件の悪化を背景に、過労死する人がいる。
差別や偏見を背景に、殺される人がいる。
そして様々な社会状況を背景に、年間3万人の自殺者がいる。

いのちに「再チャレンジ」は無い。

殺人事件の被害者感情を理由して、厳罰化による感情回復がうたわれる。
殺人事件の凶悪化を理由にして、死刑の乱用が推進される。
殺人事件の増加を理由にして、警備と監視が強化される。
テロの脅威を理由にして、軍備強化への準備が進められる。
そして戦争と裁判に市民を引きずり込むことで、「殺さない権利」をも奪う。

これが、「美しい国」なのか。

企業が収益を上げるために、テレビが視聴率を上げるために、国家権力がそれを強化するために、人々を切り捨て、死に追い込み、そして死の悲劇をも利用して、更に社会は回る。
大きな声で「死ぬか殺すか」の二者択一を迫れているのを感じる。
その声の大きさに、猛烈な敗北感が襲ってくる。

それでも。
私は人として、生き残りたい。
殺す側にも殺される側にも、立ちたくない。


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