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裁判員の判決は誰が責任を負うのか [司法]

裁判員制度の下では、裁判員6名と職業裁判官3名の多数決で判決が決まることになっている。
ちなみに現行制度では、裁判官3名の多数決で判決が決まっている。推定無罪の原則(疑わしきは被告人の利益に。合理的な疑問の無い範囲で)から言えば、裁判官の一人が疑いを持った時点で「合理的な疑問」じゃないのかって気もするが、その辺がどう説明されているのかは勉強不足でよく分からない。
裁判員制度に関する法務省のホームページでは「合理的な疑問」について「みなさんの良識に基づく疑問です」と説明されている。つまり、感覚だと。
更にホームページを読めば「良識に照らして、少しでも疑問が残るときは無罪、疑問の余地はないと確信したときは有罪と判断することになります」と続く。つまりは感覚的にコイツだと確信したら、そいつが犯人ですよと。メディアが既に有罪化してしまった人が被告人の場合、裁判員のだれもが多分に予断を持っているわけで、その中での「良識」が出す判断なんて裁判しなくても分かる。
ていうか、これって裁判か?

例え全員一致で判決を出した場合であっても、その後に「あの判断は本当に正しかったのか」と感じる可能性はある。袴田事件の元裁判官のように、自分の出した判決を後悔する日が絶対に来ないとは、誰にも言えない。「良識」という名の「感覚」で出した判決なら、尚のことだ。
法務省のDVDでは、いずれも全員一致で判決が出ているが、実際にはそんな裁判ばかりのわけが無い。裁判員+裁判官の間で意見が一致せず、誰かが判決に疑問を呈した場合、疑問を呈した人はもちろん、疑問を呈された人々も「あれで良かったのか」と振り返る日が来るだろう。
そしてその責任を、国も裁判所も、当然、負わない。判決に問題があったとしても、後々、後悔する結果になったとしても、「うちらじゃなくて国民が決めたことですから」と、国や裁判所はいくらでも責任逃れをすることが出来る。判決の結果を、国民に押し付けることが出来る。

裁判員制度の対象となるのは重大な犯罪の疑いで起訴された事件なので、当然、死刑事件もここに含まれる。死刑が確定し執行された後で、判決を後悔する日が来ても、回復の手段は無い。人は生き返らない。


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