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貧困太りと裕福痩せ [貧困]

スローライフやロハスが推奨されるようになって、どれくらいだろう。なんとなく良い目標なのだろうとは思いつつ、どうにも乗り切れない自分がいる。
例えばスローライフやロハスを実践するための道筋として紹介されるのは、環境への意識を高めるとか、経済優先の考え方を改めるとか、食の安全に興味を持ちましょうといった、いわば精神論が主流である。
もちろん、それはそれで大切なことだ。しかし、意識改革だけでは、スローライフもロハスな生活も実現されない。
私が契約社員として会社勤めをしていた頃、いつも夜10時過ぎに帰宅し、翌朝は7時に家を出て、昼休憩は30分あるか無いかだった。そして給料は安かった。そんな状況の中で食べられる物といえば、マックに代表される安い早いのジャンクフードか、せいぜいコンビニ弁当である。
環境や食の安全への意識がいかに高くても、それを実践する金銭的・時間的余裕が、ビンボー人には無い。長時間労働を終えて夜中に帰った人間が、帰宅してから鰹節と昆布できちんとダシを取った料理なんて作れるはずも無い。
そこそこ裕福な人間だけが、安全で高価な有機野菜と国産牛を使って、きちんとダシをとり、カネと時間のかかる「安全なスローフード」を口にすることが出来るのである。

もちろん、ジャンクフードがこれほどまでに広まった理由は、他にもある。
添加物には習慣性があるため、食べれば食べるほど、同じ商品がお腹いっぱい以上に欲しくなる。添加物を取り続けることで、アミノ酸化合物やたんぱく加水分解物に代表されるうまみ調味料(という名の添加物)が入っていないと「おいしい」と感じない舌になってくる。そこそこ裕福でも、食品の質や安全性より安さを基準に食品・食材を選ぶ人も多い。
だが一方で、ジャンクフードを作る材料や労働を提供しているのも、それを消費しているのも、多くの場合は貧しい人々であることも事実だ。貧しい発展途上国の提供した材料で、自給の安い非正規雇用者が調理し、自給の安い非正規雇用者が販売し、所得の低い人々がそれを消費する。見事なまでの「貧困者ループ」がここにはある。
実際、世界の「肥満者」の実に1/3は発展途上国の人々であるとのデータもある。安全ではないが安くて早く手に入れることの出来るジャンクフードを、多くの貧困者が「食べさせられて」いるからだ。貧しい人々はもちろん、フットネスに行ってダイエットをするような時間・金銭的余裕も無い。
「超え太る」とは裕福な者を評して使われる言葉だが、昨今では「貧困ゆえに太る」ことすら起こり得るのだ。

ジャンクフードが貧困者を食い物にする中で、業界の上に位置する人々だけが、その労働と消費を吸い上げ、更に富を蓄積して「スローフード」を口にする。

<参考>
【安部司インタビュー「"食品の裏側"を明らかにする」】
http://www.nikkeibp.co.jp/sj/interview/62/
【ダーウィンの悪夢】
http://www.darwin-movie.jp/


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